標準的な教科書である“Synopsis of Psychiatry (eleventh edition)”の「強迫性障害(リンクはWikipedia)」の項目には以下のように記されています。
「男女合わせた一般人口における生涯有病率は2~3%、研究者の中にはクリニックの外来患者の10%を占めると主張するものもいる……成人においては、男女はほぼ同じ割合で罹患し、思春期においては男性の方により頻繁に認められる。発症の平均年齢は20歳だが、男性は女性よりもやや早く発症する傾向がある。…」(訳はブログ著者)
今回は、強迫性障害の有病率等、疫学的情報について複数の文献から信頼性の高いデータを得るために統合した結果(メタ・アナリシス)をご紹介します。
女性は男性よりも強迫性障害のリスクが高い
PsycINFOやPubMedといった代表的な検索エンジンを用いて、強迫性障害の疫学に関する研究(2017年1月まで)を調べ、まずは4,045本の論文を同定しました。さらに、一定の基準に従い、34本の論文を今回の分析に含める内容として抽出しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①男女合わせた有病率は1.1%、一生のうちにある病気にかかる割合である“生涯有病率”は1.3%であった。
②女性の方が男性よりも強迫性障害をやや多く経験し(生涯有病率で、男性1.0% vs 女性1.5%)、若い年代に罹患率の高い傾向がある。
つまり、生涯のうちに経験する様々なイベントやホルモンの影響など様々な要素の影響が考えられるかも知れませんが、男性よりも女性の方がやや強迫性障害の生涯有病率が高いと言えそうです。
#強迫性障害
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