統合失調症においては、自己ケア能力の低下や一部では薬剤の影響による肥満等が関与し、循環器系疾患のリスクが高くなると指摘されてきました。
今回は、統合失調症における循環器疾患のリスクファクター(危険性を高める要素)と認知機能低下との関連を調べた分析(メタアナリシス:多数の研究を統合した研究)をご紹介します。
循環器疾患のリスクファクターと統合失調症における認知障害の関連
メタボリックシンドローム等、循環器疾患のリスクファクターと統合失調症の認知機能評価を含んだ27の研究(10,174人の参加者)が分析の対象となりました。
結果として以下の内容が示されました。
①27のうち13の研究では、メタボリックシンドロームと統合失調症の認知障害の関連を示していました。
②メタボリックシンドロームを構成する疾患のうち、特に認知障害との関連を示していたのは、糖尿病(8の研究、以下数字は関連を示していた研究の数)、高血圧(5)でした。
③肥満や脂質異常と認知障害の関連は示されていませんでした。
つまり、循環器疾患のリスクファクターの一部が、統合失調症の認知障害と関連を示しており、統合失調症の治療を行う上で、このようなリスクに関しても留意して経過を観察する必要性があると考えられました。
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