◎要約:『子ども・思春期の身体症状は、PTSDがある時の方が、種類が多く強くなるかもしれない』
子どもの腹痛や頭痛等の身体症状は、原因がはっきりしないことも多く、日常生活や学業の継続(登校状況)に大きな影響を及ぼすことがあります。
今回は、心的外傷症状(PTSD)と身体症状との関係について調べた研究をご紹介します。
Somatic and Posttraumatic Stress Symptoms in Children and Adolescents in France
子どもと思春期における身体症状と心的外傷後ストレス症状
フランスにおける研究で、363人の子ども・思春期若年者(平均13.58歳、47.9%女性)が対象となりました。
身体症状として、片頭痛、動悸、吐き気、倦怠、不眠が含まれ、その頻度や強さと、心的外傷体験の有無の関連について調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・PTSDがある場合には、(PTSDのない場合に比較して)身体症状の数が多くなっていました(PTSDあり7.0 vs PTSDなし4.0)。
・PTSDがある場合には、身体症状の程度も強くなっていました(今回用いられた尺度で、10.4 vs 4.8)。
・多くの身体症状がPTSD症状が強い場合に、強くなっていました(例:胃痛や頭痛)。
思春期の身体症状のほとんどが心理的な背景のみで説明されるというわけではないと思われますが、PTSD症状と共通と背景となる不安などの要素が関連している可能性が考えられました。
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