◎要約:『心的外傷体験以前の様々な側面から評価される状態改善(福祉)が、PTSD発症のリスク軽減と関連する』
今回は、心的外傷体験に暴露される前の状態と、PTSDの危険性との関係(保護的因子)について調べた研究をご紹介します。
心理社会的状態と外傷的体験、PTSDの危険性
Psychosocial Well-Being at the Time of Trauma Exposure and Risk of PTSD
アメリカの退役軍人を対象とした研究で、978人(79.0%男性、平均33歳)が対象となりました。
心的外傷体験以前の状態を職業的、経済的、社会的状態(ウェル・ビーイング)に分けて、それぞれを評価した尺度の数値とPTSD発症リスクとの関連を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・職業、経済、社会的状態(ウェル・ビーイング)のいずれも、状態が良い場合にPTSD発症リスクの軽減を認めていました。
・心的外傷体験以前のPTSD関連症状で調整を行ったところ、経済的状態については関連が明らかでなく、職業、社会的状態に関してはリスク軽減との関連を維持していました。
・評価の比較を行う方法(時系列)によって、経済的状態は関連が明らかでない場合がありましたが、職業、社会的状態に関しては関連性を維持していました。
心的外傷体験に暴露される以前の安定した職業や社会的資源とのつながり(社会的福祉)が大切であることが感じられる内容でした。
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