◎要約:『怒りの尺度は頻度、強度、持続時間を尋ねると、多くの問題となる怒りを抽出することができるかもしれない』
怒りそのものは自然な感情だとしても、トラブルにつながるような問題となる怒りについて、どのようにコントロールするのかが課題となることがあります。
今回は、元々5項目からなる怒りの尺度のうち、3項目を取り出した簡便な尺度で、怒りの問題を抽出できるのかを調べた研究をご紹介します。
Three-Item Dimensions of Anger Reactions Scale
怒り反応の3項目尺度
オーストラリアとアメリカの軍隊における71,010人(現役・退役軍人を含む)が対象となりました。
元々のDAR-5という尺度()5項目について訳出すると以下のようになります。※頻度を「1:ない、またはほとんどない」、「2:少し」、「3:いくらか」、「4:たいてい」、「5:ほとんどいつも」から選ぶようになっています。
1.私は人々や状況に対して怒りを覚えている。
2.怒るときは、本気で怒る。
3.怒るときは、怒り続ける。
4.怒りを覚える相手を殴りたくなる。
5.怒ったことで、仲違いしてしまう。
上記のうち、1.頻度、2.強度、3.持続時間を尋ねた項目を選んでその妥当性を調べています。
結果として、3項目にしても上記の5項目と同等の妥当性を認め、8点以上をカットオフにすると、最も感度と特異度が良好(バランスがとれた内容)となっていました。
さらに、DAR-5(5項目)とDAR-3(3項目)はともに、PTSDやうつ病、攻撃性、関係性の葛藤と関連を示していました。
怒ることそのものは必要な感情の一つと思われますが、しばしば・強く・長く怒ることは他の疾病とも関連して、問題となりやすいことが考えられました。
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