統合失調症で認められるような幻覚や妄想でなくとも、なんとなく視線が気になったり、被害を受けるような気がしたり、悪口を言われているような気がしたり、……はっきりとは言えない、そんな気持ちになることはあり得ると思います。
自分がそのような気持ちになったり、家族からそのような話を聞いたりすると、精神病(統合失調症)の発症を疑ってしまうのは行き過ぎなのでしょうか?
今回は、精神病に類似した症状を経験することは、どのような年代に多いのか、頻度はどうか等にについて、ご紹介します。
子ども時代から思春期にかけての精神病体験の発生率と影響、そして精神病の予測
精神病に類似した体験について尋ねて得た合計7900人分のデータ(12,18,24歳時)が分析の対象となりました。
結果として、以下のことが示されました。
①精神病類似体験は13歳から24歳に向かって増えており、思春期でピークを迎える。
②12歳から24歳にかけての8.1%で精神病に類似の体験をしていた。
③24歳までの2.8%が精神病の診断を満たす状態となっていた。そして、そのうち70%は専門家の援助を求めていた。
④18歳までの精神病類似の体験はその後の精神病の発症を正しく予測してはいなかった。
上記のように、多くの方が一時的にせよ、精神病に近い体験をしており、それは思春期に多い症状であることが分かります。
ただし、そのうち一部は実際に精神病の診断基準を満たすレベルまで症状が悪化しており、頻度の高さで安心することはできないと思われます。
いずれにせよ、すべての精神症症状から精神病へに移行を正しく予測することは困難で、成人病類似の体験が認められたときは、注意深い観察が必要であると考えられました。
#統合失調症
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