◎要約:『うつ病に対する抗うつ薬が使用されている場合のほうが、外傷につながる転倒は少ない傾向がある』
今回は、抗うつ薬で治療を受けた時に、転倒の危険性がどのような影響を受けるのかを調べた研究をご紹介します。
第一選択の抗うつ薬で治療されている高齢者における外傷につながる転倒の危険性の相違
Injurious Fall Risk Differences Among Older Adults With First-Line Depression Treatments
アメリカにおける研究で、うつ病のある高齢者101,953人(平均76歳、62.1%女性)が対象になりました。
治療の有無による転倒の危険性への影響を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・心理療法の有無は転倒の危険性に影響を与えていませんでした。
・抗うつ薬が使用されていると転倒の危険性は減少する傾向がありました(例:ブプロピオンでハザード比0.74倍)。
・外傷性の転倒の発生率(人年法)は、ブプロピオンを使用している場合は63/1000人年、無治療の場合は87/1000人年となっていました。
抗不安薬や睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)の場合には転倒のリスクが上昇すると言われていますが、少なくとも抗うつ薬では危険性が軽減される面もあるのかもしれません。
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