
昨日は、出生前の抗うつ薬暴露について、その後の脳の変化を調べた内容についてお伝えしました。
今回は、かなり昔(1997年)の論文になりますが、抗うつ薬(三環系抗うつ薬、SSRIを含む)を妊娠中に使用した場合の、IQや行動の変化について調べた研究をご紹介します。
Neurodevelopment of Children Exposed in Utero to Antidepressant Drugs
子宮内で抗うつ薬に暴露された子どもの神経発達
80人は三環系抗うつ薬(古いタイプの抗うつ薬で、比較的副作用は強いと言われている)、55人はSSRI(三環系抗うつ薬よりは新しく登場した薬剤で、比較的副作用は少ないと言われている)、84人は何も使用しないという3つのグループが対象となりました。
16~86か月までのIQ、言語発達、その他の行動変化について、上記の3グループを比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・全体のIQと言語発達で、3グループ間の明らかな差異はありませんでした。
・上記の結果は、三環系抗うつ薬とSSRIの間でも差異はありませんでした。
・気質、気分、覚醒、活動性、注意、問題行動の点でもグループ間での差異はありませんでした。
要約:『抗うつ薬を妊娠中に服用した場合でも、その後の知能や行動に大きな差異は生じないかもしれない』
かなり以前の研究で、参加人数も少なめであり、どの程度参考にして良いのか迷う点はありますが、知能の大まかな観点から見て、抗うつ薬の影響は限定的である可能性が考えられました。
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