以前から、抗うつ薬(SSRI)の使用でCOVID-19感染後の重症化を防げるのではないかという指摘があります。
今回は、抗うつ薬を投与していた場合に、実際に病状を軽減する効果があるのか、大規模な資料を元に検討した論文を紹介します。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与されていた場合のCOVID-19感染による死亡リスク
アメリカの疾患データを用いた研究で、COVID-19に感染した83,584人が対象となりました。
このうち、3,401人が抗うつ薬(SSRI)の処方を受けており、特に薬剤の中でも注目されているフルオキセチン、フルボキサミン、その他のSSRIに分けて、COVID-19感染による死亡リスクへの影響について調べました。
結果として、以下の内容が分かりました。
①全体のSSRIでは相対的な死亡リスクは0.92倍に低下していました。
②特にフルオキセチンに絞ってみると、さらに低下が大きくなり、0.72倍となっていました。
③少し範囲を拡大して、フルオキセチンかフルボキサミンの服用については、0.74倍となっていました。
つまり、“SSRIを服用している場合には、COVID-19に感染しても死亡率はやや低下し、フルオキセチンでは特に低下が大きい可能性がある”と言えそうです。
予防薬として服用して意味があるかは不明ですが、相対的死亡リスク低下の機序として、抗うつ薬が持つサイントカイン等免疫系への影響が想定されているようです。
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