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抗うつ薬治療の新たな標的(KCNQ2/3カリウムチャネル)について


抗うつ薬として、セロトニンやノルアドレナリン等の神経伝達物質の働きに影響を与えるものが知られています。


今回は、KCNQ2/3カリウムチャネルを標的とする新しい仕組みの抗うつ薬として期待されている“エゾガビンEzogabine”について、少数ながら対照試験を行った結果をご紹介します。


KCNQ2/3カリウムチャネルオープナーであるエゾガビンの報酬回路やうつ症状に与える効果


強いアンヘドニア(失快楽)を伴ううつ病に罹患した45人が研究の対象となりました。


21人をエゾガビン服用のグループに、24人を偽薬のグループに振り分け、報酬に関する課題を行った時の脳の働きを示す画像や臨床症状の変化を調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①脳の働きを示す画像ではエゾガビンの方が脳の活性化を認めましたが、明らかに効果があると判断できるほどではありませんでした。

②臨床症状では複数の尺度で明らかにエゾガビンの方が改善を認めていました。


つまり、エゾガビンは症状の改善に役立ちそうでしたが、画像的に確認できるほどではありませんでした。


今回は、少数例でしたので、なかなか統計的に意味のある差が認めにくい部分があったと思われます。しかし、実感される症状の改善を考えると今後の検証結果が期待される薬剤であると思われました。

 
 
 

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