アメリカで認可されている抗てんかん薬の添付文書には希死念慮や自殺企図の増加傾向に関する注意書きがされています。
これは、かなり以前の研究で指摘されていた傾向ですが、最近の研究でもう一度検証し直した内容をご紹介します。
自殺リスクと新しい抗てんかん薬に関するメタアナリシス
最近の抗てんかん薬に関する17の研究(合計5,996人の参加者を含むRCTと呼ばれる比較的信頼性の高い臨床試験)を分析してまとめています。
新しいタイプの抗てんかん薬を服用している場合の傾向について、以下の内容が示されました。
①希死念慮と自殺企図について増加の傾向は認めませんでした。(リスクの比で示すと、希死念慮0.75、自殺企図0.75で両方ともわずかに低下)
②具体的には4000例の服用で希死念慮は12例、自殺3例となっており、ごく少数例にとどまり、プラセボと明らかな差異はありませんでした。
つまり、“少なくとも新しい世代の抗てんかん薬には自殺を助長する傾向はない可能性が高い”と言えそうです。
てんかん発作のリスクを考えると、もしこのような添付文書への警告によって薬剤の服用を中止するならば、患者さんにとって大きなデメリットとなるかもしれません。
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