アルツハイマー病発症の機序であるアミロイドの蓄積を防ぐ目的で、抗アミロイドβ薬が開発されてきました。
アメリカでは承認を受け、臨床で用いられていますが、今回は抗アミロイドβ薬が脳の体積に与える影響について調べた研究をご紹介します。
Accelerated Brain Volume Loss Caused by Anti–β-Amyloid Drugs: A Systematic Review and Meta-analysis
抗アミロイドβ薬による脳体積減少
抗アミロイドβ薬の臨床試験を内容に含む論文が分析(メタ・アナリシス)の対象となり、最終的には31本の研究が分析に含まれました。
抗アミロイドβ薬が海馬や脳全体等の体積にどのような影響を与えているのかを調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・抗アミロイドβ薬の種類によっても影響は異なっていましたが、全体として脳の萎縮との関連を示していました。
・種類別では、セクレターゼ阻害薬で海馬の体積がプラセボよりも-19.6%減少、脳全体では-21.8%減少していました。
・画像上での変化をもたらしている抗モノクローナル抗体では、脳室の拡大(脳体積の減少を反映)を生じていました(プラセボとの比較で+38.7%)。
要約:『種類によって影響は異なるが、抗アミロイドβ薬は脳の萎縮をもたらす可能性がある』
アルツハイマー病の経過に悪影響を与えるという確実な結論ではない点に注意が必要ですが、抗アミロイドβ薬が脳の構造に、何らかの影響を与えている可能性が考えられました。
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