実際の社会で行われる治療では、薬剤承認の時の試験よりもずっと高い割合で自己判断での薬剤中止が起こります。
今回は、アメリカの退役軍人のデータを集めて、薬剤中止の割合を薬ごとに比べてみた結果についてご紹介します。
抗精神病薬による中止率の違い
アメリカの退役軍人に関する全国的なデータを元にしている観察研究で、統合失調症と診断されている外来患者37,368人が対象となっています。
元々、条件の統制のない観察研究で、全ての原因による薬剤中止をシンプルな結果として用いています。
オランザピンの中止率を1.0として、結果は以下のようになっています。
①オランザピンよりも中止率が低いのは、クロザピン0.43、アリピプラゾール持効性注射薬(以下、LAIと表記)0.71、パリペリドンLAI0.76、多剤併用0.77、リスペリドンLAI0.91
②オランザピンよりも中止率が高いのは、第1世代抗精神病薬1.16、リスペリドン1.15、アリピプラゾール1.14、ジプラシドン1.13、クエチアピン1.11
つまり、“薬の種類により(特に剤型により)、抗精神病薬の中止率には差がある”と言えそうです。
大雑把な中止率だけをみた結果ですが、副作用の程度や服用(あるいは注射)の頻度・手間が結果に影響しているように思われました。
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