◎要約:『統合失調症に対する持効性注射剤を早期に中止すると、持効性注射剤を選択しなかった場合よりも、病状の悪化(再入院)が多い可能性がある』

一度の注射で長期に渡る抗精神病効果を認める注射剤(以下、LAI: Long-Acting Injectable Antipsychotics )があります。
今回は、初めての発症エピソードのときにLAIを使用して、経口剤のみになった場合とそうでない場合とで経過を比較した研究をご紹介します。
In-Hospital Use of Long-Acting Injectable Antipsychotics and Readmission Risk in Patients With First-Admission Schizophrenia in Taiwan
台湾における研究で、統合失調症で初めて入院した56,211人(平均38.1歳、男性52.3%)が対象となりました。
上記のうち、LAIの投与なし83.4%、LAIの投与あり(早期に中止)10.1%、LAIの投与あり(継続)6.5%で経過を比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・LAIの使用は2004~2008年の15.3%から、2013~2017年の19.3%で増加を示していました。
・入院時の年齢や入院期間、性別、抗精神病薬使用までの期間などを調整した後で、LAIの投与あり(早期に中止)では、LAIの投与なしよりも再入院が多くなっていました(ハザード比1.25倍)。
・同様に、LAIの投与あり(継続)では、LAIの投与なしよりも再入院が少なくなっていました(ハザード比0.88倍)。
今回の結果からは、持効性注射剤を使用する場合には安定した投与が必要であると思われました。
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