第2世代と言われる、効果が大きく副作用の少ない(というイメージがある)抗てんかん薬が主に使われるようになっています。
しかし、このイメージは実際に正しいのでしょうか?
今回は特に、第2世代の抗てんかん薬の使用が進んだこの30年間で副作用が軽減されたのかを経時的に調べた研究をご紹介します。
新規にてんかんの診断がなされた場合における抗けいれん薬の忍容性
2016年までの30年間に新たに診断されたてんかんを対象に、処方されたてんかん薬の種類や副作用、基礎となる条件等について時間を追って調査しました。
結果として以下のようなことが分かりました。
①副作用が出やすい条件として、
a. 年齢が18歳以下
b. 性別が女性
c. 治療開始前に5回以上の発作を起こしていること
②第2世代の抗てんかん薬の使用は最初の10年で22.3%⇒最後の10年68.7%と増えている。
③第2世代の抗てんかん薬の使用増加によって副作用は減っていない。(重い副作用の出現率は最初の10年10.1%⇒中間で13.8%⇒最後で14.0%と少なくとも減少していない)
つまり、新しい抗てんかん薬の使用は増えても、一定の条件下で重い副作用は起こっており、出現率も減っていないということになりそうです。
より有効であることを主眼として新しい抗てんかん薬が登場し、新しいものはきっと良いに違いないというイメージが先行して、使用する傾向がどうしてもあると思います。
しかし、少なくとも副作用という観点からは明らかな改善は生じていないようです。
今更の感はありますが、新しい薬剤の実質がどの程度患者さんの役に立つのかは、良く吟味して冷静に考えるべきであると思われました。
#てんかん
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