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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

新生児における抗けいれん薬の中止時期について


新生児では原因がはっきりせずにけいれんが生じることがあり、抗けいれん薬を投与することがあります。


現在のところ、けいれんが起きていない時期が続き、退院の時期を迎えても、(発達への影響やけいれんの再発を警戒して)抗けいれん薬を継続したまま様子をみることが多いと思われます。


今回は、退院前の早期に抗けいれん薬をやめた場合と継続した場合とで、その後の神経発達やけいれんの再発にどのような違いがあるのか調べた研究をご紹介します。


新生児の急性のけいれん発作後、抗けいれん薬を早期中止することの安全性


アメリカの9つの施設から303人の新生児に関するデータが集められました。このうち多くの場合(194/303人)では退院時にも、抗けいれん薬を継続していました。


早期に抗けいれん薬を中止した場合と継続した場合とで、2歳時の神経発達とけいれんの再発について調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①2歳時の神経発達について Warner Initial Developmental Evaluation of Adaptive and Functional Skills (WIDEA-FS)という尺度で比較しましたが、抗けいれん薬中止の時期で、神経発達に明らかな違いはありませんでした。

②てんかんのリスクに関しても大きな差異はありませんでした(11% vs 14%)。


つまり、“新生児のけいれん発作を止める目的で抗けいれん薬を使用した場合、長期にそれを継続すべき証拠はない”可能性が示されました。


小さな子どもがけいれん発作を起こすことについては強い心配を伴うので、一応抗けいれん薬を継続しておきたいという心理も働くと思われます。しかし、薬剤を続けることの実際の利益は少ないようです。

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