歯周病の原因菌に対する投薬が認知症の悪化を防ぐ?


アルツハイマー病に関して、しばしば免疫関連の遺伝子に関する変異が指摘されています。


以前から、慢性の炎症が認知能力低下に関連することが述べられており、炎症の原因にアプローチすることで認知症の進行を抑制できるかもしれないと期待されてきました。


今回は、歯肉の炎症などの歯周病に関して、その原因となる細菌に効く薬剤(Atuzaginstat)が、認知症進行を抑制できるか調べた臨床試験についてご紹介します。


GAIN Trial: Phase 2/3 Study of COR388 in Subjects With Alzheimer's Disease

GAIN試験: アルツハイマー病の対象者に対する薬剤(COR388 Atuzaginstat)2/3相試験


軽度から中等度のアルツハイマー病に罹患した643人(平均69歳 65%がApoE4キャリア)が対象となりました。


今回、使用されているのはAtuzaginstat(以下、歯周病治療薬と表記)という薬剤で、蛋白を分解する酵素を産生するPorphyromonas gingivalisという認知症への影響が考えられる細菌を抑制する作用を持っています。


この歯周病治療薬と偽薬とに対象者を振り分け、認知機能や唾液・血液・脳脊髄液のバイオマーカー(細菌数を反映する)について調べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①全体の結果としては、歯周病治療薬は、偽薬との明らかな違いを示せませんでした。

②歯周病原因菌のレベルが元々高い対象者に限定すると、認知能力や日常生活の様子を示す指標で、歯周病治療薬では認知能力低下が抑制されていました。


つまり、“歯周病治療薬Atuzaginstatは、元々歯周病原因菌の多い認知症では、その後の進行を抑制できるかもしれない”と言えそうです。


対象者が限定されますが、元々多様な要因を持つと言われている認知症に対して、条件に合わせて治療薬が異なるのは当然なのかもしれません。


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