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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

炎症の指標とうつ病との関連(遺伝学的手法での研究)

更新日:2020年11月8日


体内で炎症が起こると、発熱、腫脹、発赤、疼痛等が出現し、血液検査データとしては白血球数、赤血球沈降速度、CRPやIL-6等が参考とされます。


これまでにもCRP等の身体の状態を表す指標: バイオマーカーが、うつ病の症状と関連することが指摘されてきました。


今回は、最近しばしば用いられる遺伝学的手法(メンデルランダム化)を用いて、炎症のバイオマーカーの上昇を促進する遺伝的形質とうつ病の症状との関連を調べた研究をご紹介します。


炎症、代謝の制御不良、うつ症状の関連を検討する


遺伝子情報: Genome-wide association study (GWAS)のデータベースが用いられました。例えば、CRPに関しては204,402、うつ症状について117,907等、大規模なデータが分析の対象となっています。


炎症のバイオマーカーについてはCRPとIL-6、代謝異常についてBMI、これらと基本的なうつ症状との関連の調査とメンデルランダム化を用いた因果関係の推定: MRが行われました。


結果として、以下のような内容が示されました。

①CRPとBMIは同じ程度、基本的なうつ症状と関連している。

②MRでIL-6上昇は特に希死念慮(自殺企図)への影響が疑われた。

③MRでBMIはアンヘドニア(失快楽)、疲労感、食欲変化、不全感への影響が示唆された。


“メンデルランダム化”という手法を用いると、通常の関連性を調べる調査とは違い、遺伝的なランダム化が行われるため、因果関係の推定が可能と言われています。


今回の結果からは、IL-6の上昇をもたらす仕組みが、希死念慮に影響を与えている可能性が示唆され、今後この経路を制御することが治療的に働く可能性が考えられました。


#うつ病 #メンデルランダム化


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