精神疾患と腸内環境との関係を考える時に、精神状態の悪化→腸内環境の悪化で考える精神・脳中心の考え方と、腸内環境の悪化→精神状態の悪化で考える腸中心の考え方があります。
今回は、後者の考え方を検証する内容で、脳の脈絡叢(脊髄液を産生している血管の集まっている部分)の炎症に対する反応を調べた研究をご紹介します。
腸の炎症の際に生じる脈絡叢の血管障壁閉鎖を特定
今回の観察では、炎症が起こっていない状態ならば70 kDa(分子の大きさを示す単位)以下の大きさならば通過させる障壁が、腸の炎症が起こった場合に細菌によって作られる物質に反応すると、ドアを閉めるように物質を通過させなくなったとのことです。
つまり、“腸の炎症→血液-脳関門(脳を血液中の物質の影響から保護している障壁)の閉鎖→脳の栄養不足→精神状態の悪化というしくみが考えられる”ということです。
すぐに臨床に繋がる内容ではないかもしれませんが、長期的には血管の機能に着目した治療薬の開発等が期待される内容でした。
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