通常、統合失調症治療の中心となる抗精神病薬には、(薬によって程度に大きな差がありますが)鎮静や体重増加、パーキンソン症状等の副作用が指摘されます。
今回は、通常とは異なる仕組み(コリンと抗コリン作用の組み合わせ)による薬剤で、副作用も異なる薬剤についての試験結果をご紹介します。
統合失調症に対するムスカリン性コリン受容体アゴニストと末梢性アンタゴニスト
これは、キサノメリンとトロスピウムという2種の薬剤を組み合わせた薬剤が統合失調症に有効か、副作用は多くないかを調べた試験です。
統合失調症の治療薬としては、何らかのかたちでドーパミン受容体拮抗の作用を持つものが中心ですが、今回は全く異なるしくみを持つ薬剤が有効である可能性を検証しています。
キサノメリン+トロスピウムを服用するグループ90人とプラセボ92人の経過を5週間に渡って調べました。
結果として以下の内容が示されました。
①統合失調症の尺度(PANSS:30~210点、高得点ほど症状が悪い)で、新薬のグループ17点の減少、偽薬で6点の減少となっていました。
②通常の薬剤で認められる鎮静や体重増加、パーキンソン症状は認められず、吐き気や便秘などの消化器症状が副作用として認められました。
つまり、新しいしくみを持つ薬剤で、副作用も今までとは異なりますが、統合失調症の治療にかなり有効であることが示されました。
統合失調症の薬物治療は長期にわたることが多く、鎮静や体重増加、パーキンソン症状は大きな問題となります。今回の薬剤は有効性や副作用の点で“画期的”と言えるかもしれません。
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