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疾患ごとのプラセボ効果の違い

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

◎要約:『ほとんど全ての疾患でプラセボ効果を認めるが、最も大きな効果を認めるのは大うつ病(次いで、全般性不安障害)で、最も小さいのは統合失調症かもしれない』





臨床試験で、実薬とプラセボ(偽薬)を比較した時に、(疾患や病態にもよりますが)殆どの場合プラセボにも一定の効果が認められます。


今回は、疾患ごとのプラセボ効果の違いについて調べた研究をご紹介します。


9疾患についてのプラセボ効果の違い

Differential Outcomes of Placebo Treatment Across 9 Psychiatric Disorders

A Systematic Review and Meta-Analysis


各疾患についてのプラセボ効果を調べた90本(参加者9985人)のランダム化比較試験が分析の対象となりました。


結果として、以下の内容が示されました。


・すべての疾患で一定のプラセボ効果を認めましたが、最も効果が大きかったのは、大うつ病で、その後に全般性不安障害が続いていました。


・パニック障害、ADHD、PTSD、社交不安、躁病、強迫性障害でも一定のプラセボ効果を認めていましたが、上記の2つの疾患よりも効果は小さくなっていました。


・統合失調症におけるプラセボ効果は、すべての疾患の中で最も小さくなっていました。




多くの精神科医が、心理的な影響を受けやすい全般性不安障害などの神経症圏の疾患で、プラセボ効果が大きいと予想すると思われます。今回の結果は、その予想と大きくは異ならない結果となっていました。

 
 
 

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