発達障害の環境要因の割合は時代とともに変化しているか?

発達障害の遺伝的要因と環境的要因に関して質問されることがあります。
現在のところ、遺伝的要因が大きな割合を占めていることが指摘されていますが、今回はこの点が時代によって変化するのかを調べた研究をご紹介します。
Etiology of Autism Spectrum Disorders and Autistic Traits Over Time
各時代における自閉症スペクトラム障害や自閉症的特徴の原因
①1982~2008年に出生した22,678組の双子
②1992~2008年に出生した15,279組の双子
以上のコホート(研究対象の集団)について調査が行われました。
※遺伝の影響を調べるときに、このように双子の特徴の比較が行われることがあります。
どれくらい遺伝の要因が強いかについて「遺伝率」という値が参考にされますが、上記の①の時代では0.88~0.97、②では0.75~0.93と、大きな違いは認められませんでした。
最近、自閉症スペクトラム障害を含めた発達障害の診断が増加していることが話題となっていますが、その中で遺伝的影響の占める割合が変化しているわけではないようです。
今後も長期的な変化や診断のあり方、疾患概念の変化を含めて検討が必要であると思われました。