発達障害(自閉症スペクトラム障害)と遺伝的検査


自閉症スペクトラム障害には遺伝的な異常が明らかな場合もあり、その異常を把握しておくことは治療方針を検討する上でも有用なのですが、実際にはなかなか行われていません。


今回は、どの程度自閉症スペクトラム障害に対して遺伝的検査が行われているか調査した研究をご紹介します。


Clinical Genetic Testing in Autism Spectrum Disorder in a Large Community-Based Population Sample

自閉症スペクトラム障害に対する臨床的遺伝検査


ADOS-2と呼ばれる自閉症スペクトラム障害診断のための標準的検査で診断を確認した1,280人(1~68歳、16.5%が何からの遺伝検査を受けたと報告)が調査の対象となりました。


行った検査の内訳は①「脆弱X症候群」に関する検査13.2%、②核型検査7.2%、③マイクロアレイ染色体検査4.5%といった内容でした。


すべて遺伝検査ではあるのですが、それぞれに対象とする領域や診断できる内容が異なります。


コストの問題や診断の臨床的意義を考えた上で、①と③を行うことが推奨されているのですが、この調査ではこの条件を満たした方は3%のみでした。


検査を行う条件としては、早期の診断、特性が強いこと、知的障害やてんかんの合併が挙げられます。逆に言うと、これらの条件がないときには遺伝検査が行われない可能性が高まります。


さらに、治療者側の条件として、小児科医が診断を行う場合のほうが、精神科医や心理職が診断する時よりも、遺伝検査を行うことが多いようです。このあたりは障害を生物学的にみる視点や、遺伝疾患に関する知識レベルの違いがあるかもしれません。


他にも保険でカバーされない、治療方針に大きな違いを生む頻度が少ない等、遺伝検査に消極的になる理由は様々考えられますが、少なくとも遺伝疾患に関する臨床的特徴は把握し、検査前確率を考慮した上で、検査実施の判断を行うべきであると考えられました。


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