日本では睡眠障害に対して、環境面での工夫やリラックスの方法等についてお伝えすることはありますが、薬物療法が主であると思います。
海外では認知療法や行動療法も重要な選択肢であり、今回はどのような流れで治療を行うのが有効か検討した研究をご紹介します。
睡眠障害に対して、心理療法/薬物療法を順番に行うことの有効性
慢性の睡眠障害に罹患した211人(132人が女性、平均年齢45.6歳、74人については不安障害等の合併疾患あり)が対象となりました。
対象者をランダムに行動療法⇒薬物療法/薬物療法⇒認知療法等の治療の順序パターンでグループ分けしました。
結果として、以下の内容が示されました。
①最初に行った治療が行動療法でも、薬物療法でも改善した割合は大きく変わらなかった (行動療法 45.5%、睡眠薬ゾルピデム投与 49.7%)。
②最初に行った治療が行動療法の場合は、次の治療が認知療法であっても薬物療法であっても効果がありましたが、最初に薬物療法を行っている場合は、次に別の薬剤を試みても大きな改善を認めていませんでした。
つまり、最初に行動療法から始めたほうが、最初の有効性も薬物と同じくらいあり、別の方法を試したときにもさらに効果が上がる、ということになるかと思います。
上記の②の結果については、薬物療法⇒薬物療法の流れが、ゾルピデム⇒トラゾドンが選択されており、有効性は薬物選択によっても大きく変わるのではないかと考えられます。
しかし、耐性・依存性・身体/認知機能への影響などを考えると、睡眠障害に対しては行動療法から始めるのが標準となっていく可能性があると思われました。
#睡眠障害
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