破壊的行動障害や特に冷淡な特性に関して、どのように報酬を予測し、行動選択を行うかという報酬処理の過程:Reward Processingが障害されているという指摘があります。
今回は、このような破壊的行動の特性を伴う子どもについて、報酬処理の過程が反映される課題を行い、その途中の神経活動を多くの領域で調べた研究をご紹介します。
破壊的行動や冷淡な特性を伴う子どもにおける報酬処理過程
大規模な研究である“思春期の脳と認知発達に関する研究:Adolescent Brain and Cognitive Development Study :ABCD研究(平均9.51歳 、49%が女性)”で集められたデータを用いています。
対象者は以下のグループに分けられました。
ⅰ. 定型発達児
ⅱ. 破壊的問題行動を伴う子ども
ⅲ. 破壊的行動を伴う子どものうち冷淡特性を伴う者
ⅳ. 破壊的行動を伴う子どものうち冷淡特性を伴わない者
これらの子どもたちに対して報酬処理の伴う課題(MID課題:Monetary Incentive Delay Task)を行い、少額の金銭を獲得したり損失を防ぐ行動をとらせ、脳(16領域)の活動を調べました。
例として、以下のような違いが認められました。
①破壊的行動を伴う子どもでは、定型発達の子どもに比べて背側前帯状回の活動が上昇していました。
②冷淡特性の破壊的行動を伴う子どもでは、扁桃体等の領域で過剰な活動を認めました。
以上のように、破壊的行動や冷淡(過剰な冷静さ)を特性として持つ子どもでは、報酬処理を行っている時に認められる神経活動に、脳領域ごとの特徴があることが示されました。
形態画像上は特徴をとらえることが困難である特性でも、課題実施中の機能的検査で特徴を捉え、障害の理解につながることが期待できる内容でした。
#発達障害
コメント