薬剤による治療が限定的な“治療抵抗性”のうつ病(うつ状態)が存在し、改善の方策として磁気刺激法などの脳を刺激する治療法が検討されてきました。
今回は、特にスタンフォード大学によって考案された “Stanford neuromodulation therapy: SNT)が有効か調べた研究をご紹介します。
重篤なうつ病に罹患し29人が参加の基準を満たし、磁気刺激を行うグループと偽の刺激を行うグループに分けて磁気刺激の効果を確認しました。
評価尺度として研究に頻用される: Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale が使用され、4週間後の効果を調べました。
結果として、以下の内容が分かりました。
①治療開始前の状態を基準としてうつ病の評価尺度の得点(高いほうが重症)の減少が、磁気刺激(SNT)で52.5%、偽の刺激で11.1%となっていました。
②その後の経過観察で、磁気刺激(SNT)を行ったグループの8割近くが、寛解の基準(MADRSで10点以下)を満たしました。
つまり、“新しい磁気刺激による重篤なうつ病に対する効果は素早く・大きく現れる可能性がある”ことが示されました。
小さな規模の試験なので今後の追試が重要であると思われましたが、重症のうつに対する治療として大きな希望が感じました。
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