
結核菌に有効とされている抗生剤(Dサイクロセリン)は、神経伝達物質NMDAの受容体を刺激する作用を持っています。
昨日は、このDサイクロセリンをTMS(経頭蓋磁気刺激療法)に追加することでうつ症状が大きく改善される可能性についてお伝えしました。
今回は、社交不安障害(SAD)に対する心理的アプローチ(暴露療法)の前か後にDサイクロセリンを服用すると効果が増強されるのか調べた研究をご紹介します。
Dose Timing of D-Cycloserine to Augment Exposure Therapy for Social Anxiety Disorder
A Randomized Clinical Trial
社交不安障害(SAD)にDサイクロセリンを追加する時のタイミングについて
社交不安障害(SAD)に罹患した152人(平均29.24歳)が対象となりました。
セラピーセッションの前か後にDサイクロセリンを追加した場合と、そうでない場合を比較しました(ここではテーマの中心ではありませんが、個別の心理セッションを追加した場合とも比較しています)。
結果として、以下のことが分かりました。
・セラピーの前か、後にDサイクロセリンを追加した場合には、セラピーの効果(社交不安の軽減)が大きくなっていました。
・Dサイクロセリンを追加するタイミング(前か後)による効果の違いは明らかではありませんでした。
要約:『社交不安障害の心理セラピーの前後にDサイクロセリンを服用するとセラピーの効果が大きくなる可能性がある』
DサイクロセリンのNMDA受容体を刺激する作用は、他の治療を増強する効果があるのかもしれません。
もりさわメンタルクリニック:https://www.morisawa-mental-clinic.com/
rTMS治療:
YouTubeチャンネル(オンライン講座):https://www.youtube.com/channel/UCd8RS50q_Ol_x82AL9hhziQ
Comments