◎要約:『ゆっくりと行う(低頻度)rTMSが精神病の精神機能低下に有効かもしれない』
うつ病や双極症(躁うつ病)に対するrTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)の効果は既に確認されていますが、様々な他の病態に対する効果には議論があります。
今回は、統合失調症等の精神病性疾患で認める精神機能低下に対してrTMSが有効か調べた研究をご紹介します。
Psychomotor Slowing in Psychosis and Inhibitory Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation
A Randomized Clinical Trial
精神病性疾患の精神運動低下に対する抑制的反復経頭蓋磁気刺激療法
大きな精神運動低下を伴う統合失調症スペクトラム症(精神病性疾患)の患者88人(平均36.3歳)が対象となりました(治療完遂は69人)。
対象者を様々な方法と無治療に振り分けて、15回のセッション(3週後)の効果を調べたところ有効だった割合は以下のようになりました。
1Hzの抑制的(補足運動野に対する)rTMS:68%
シータバーストという超短時間集中的方法のTMS:36%
偽刺激:32%
無治療:18%
抗精神病薬などの薬剤の有効性が比較的乏しい領域なので、今後の結果が期待される内容でした。
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