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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

精神疾患では腸内細菌の分布に変化が起こる


腸内環境(細菌の分布)と精神疾患との関連が指摘されてきました。


今回は、精神疾患ごとの違いや共通の特徴について、複数の研究をまとめた分析をご紹介します。


精神障害における腸内細菌叢の混乱


34の研究(1519人の症例と比較対照として1429人を含む)が分析に含まれました。


分析の対象となった資料には、うつ病(大うつ病)・双極性感情障害・精神病性障害・統合失調症・神経性食思不振症(拒食症)・強迫性障害・心的外傷後ストレス障害(PTSD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)に関する腸内細菌の分布が含まれていました。


結果として、以下の内容が示されました。

①精神障害の罹患者では、全体として腸内細菌の減少を認めていましたが、双極性感情障害ではそのようなことがありませんでした。

②その他、精神障害ごとの腸内細菌の違いはあまり明らかではありませんでした。

③精神障害全体に認める特徴として、炎症抑制的な細菌(例:フィーカリバクテリウム、コプロコッカス)が減少し、炎症促進的な細菌(例:エガセラ)が増加していました。


つまり、“精神障害における腸内細菌の変化として、障害ごとの違いははっきりしないが、全体として炎症を引き起こしやすい変化が起こっている”と言えそうです。


日本でも統合失調症と腸内環境との研究が行われていますが、今後も腸内細菌・炎症・精神疾患の3つの関係をめぐる知見の深まりが期待されます。

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