腸内環境と精神疾患との関連については、自閉症スペクトラム障害を始めとして様々な疾患(障害)で指摘されています。
今回は、精神疾患と腸内細菌叢異常(ディスバイオシス)について、既存の文献を調べたレビュー記事を紹介します。
腸内粘膜の役割:精神疾患への影響
113の腸内細菌と精神疾患に関する文献が調査されました。共通のテーマとして“腸内粘膜の変化”という内容が浮かび上がりました。
例としてアルツハイマー病では以下のようなことが示されています。
①頻度高く腸の炎症を示す所見があり、腸内細菌叢異常(ディスバイオシス)や粘液(膜)溶解性細菌の増加を認める。
②便サンプルにおいて、炎症促進性の細菌増加、抗炎症性の細菌減少が認められる。以前の研究で、この変化が腸粘膜の透過性に影響を与え、全身性の炎症や「血液-脳関門」の障害を引き起こすことが指摘されている。
このような腸内細菌叢のバランス悪化、腸内毒素症(ディスバイオシス)や腸粘膜の機能異常は、他にも自閉症スペクトラム障害、パーキンソン病、多発性硬化症で認められ、しばしば中心の症状に先行して、腹部症状が出現することもあります。
論文の中では、このような腸内環境の変化による精神症状への影響や、治療の標的となる可能性について述べられています。このような脳とは違う観点から、精神疾患を治療する方向性について興味深く感じられました。
#腸内環境
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