
うつ病などの精神疾患と認知機能低下との関連性が指摘されてきました。
今回は、広く精神疾患が存在した場合に、認知症発症にどのような影響があるのか調べた研究をご紹介します。
精神疾患と認知症の長期間の調査でみた関連性
ニュージーランドにおける研究で、1928~1967年に同国に住んでいた人々171万人(調査開始時点で21~60歳)が対象となりました。
疾患や処方・死亡に関する公的な記録を用いて、1988~2018年の30年にわたって経過を観察しました。
結果として、以下のことが示されました。
①精神疾患があった場合には認知症発症のリスクが上昇していました(相対リスク4.24倍)。
②精神疾患があった場合には、平均5.6年早く認知症を発症していました。
③相対リスクの上昇は様々な精神疾患について認められていました(神経症2.93倍、精神病性疾患6.20倍等)
つまり、“精神疾患があると認知症を発症しやすくなり、発症年齢も早くなる可能性がある”と言えそうです。
うつ病や統合失調症のみでなく、広い範囲での精神疾患で認知能力低下のリスクについて留意する必要性を感じました。
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