精神疾患で特に現実認識に歪みが生じる重篤なものに関して、自己ケア能力に支障をきたすことが多く認められます。
摂食行動や運動習慣などに関して、どうしても不健康な方向に偏りが生じる傾向があり、発症後体重が10Kg以上増加する場合もしばしば経験されます。
今回は、比較的重篤な精神疾患について、体重コントロールに使用された薬剤の効果を調べた研究(メタアナリシス:複数の研究を分析した結果をまとめたもの)をご紹介します。
重篤な精神疾患における体重増加の薬物治療
比較的信頼性の高い52の研究を分析の対象に含めて、体重コントロールのために用いた薬剤名と用量、体重やBMI(体格の指標)の変化、元の疾患治療に使われていた薬剤、治療の期間等に関するデータが集められました。
まとめとして、比較的よく用いられている薬剤として、メトホルミン(糖尿病の薬)、トピラマート(抗てんかん薬)、ニザチジン(胃薬、H2ブロッカー)、シブトラミン(SNRI、ただし抗うつ効果なし)が挙げられています。
特に効果が高いものとして、メトホルミン平均-3.27Kg、トピラマート-5.33Kgの体重変化が認められています。
結果を解釈する時に、適応できる疾患や元々の体重などの個別の要素も考慮する必要があり、一概に体重コントロールのために全ての薬物療法をすすめることはできません。
しかし、これらの薬剤は比較的使用頻度が高く、効果が認められているものとして、安全性が確保できれば、重篤な体重増加に対して使用を検討することはあり得ると考えられました。
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