精神疾患における心臓血管疾患のリスクと心理社会的介入
- もりさわメンタルクリニック
- 2020年7月1日
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統合失調症等の比較的重度の精神疾患においては心臓血管疾患のリスクが上昇することが知られています。
今回は、治療に関するカウンセリング等の心理社会的介入によって精神疾患における心臓血管疾患のリスクがどのように変化するか調べた研究をご紹介します。
重篤な精神疾患における心臓血管リスク軽減のための介入による効果
アメリカのメリーランド州における研究で、少なくとも1つの心臓血管リスク(高血圧、喫煙、糖尿病、脂質異常症等)をもつ、精神疾患の患者269人が調査の対象となりました。
精神疾患には統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害等、比較的重度と考えられている疾患が含まれていました。
18ヶ月にわたって、健康問題のコーチや看護師によるリスク軽減のための行動指導、医師と共同して行うリスク管理、精神疾患の治療スタッフと協力して行う健康目標到達の促進指導が介入として行われました。
結果として、介入を行ったグループでは12.7%のリスク軽減(“フラミンガムリスクスコア”と呼ばれる代表的な指標で計測)を認めました。
重篤な精神疾患では、認知障害や遂行機能の低下等、自己管理に支障のある様々な要因が出現しますが、上記のように重点的な介入を行うことによる身体的リスクの軽減が可能であることが分かりました。せめて外来で丁寧に説明を行うだけでも違いが生ずるような気がしました。
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