以前から精神疾患はある種の身体疾患(慢性の代謝性疾患等)のリスクと関連性があることが指摘されてきました。
今回はより広範囲にこの精神疾患と身体疾患の関連について調べた大規模なデンマークの研究についてご紹介させてください。
精神疾患と続発する医学的状況の関連
デンマークの国民全体を対象とする疾患登録を利用した研究で、およそ590万人が調査の対象となり、2000年~2016年に渡って追跡調査が行われました。
およそ590万人のうち、70万人(11.8%)が精神疾患であり、結果として以下の内容が示されました。
①ハザード比(相対的な危険度の比)で比較したところ、まず全体として精神疾患になると身体疾患になり易い(ハザード比1.37)傾向がありました。
②それぞれの精神疾患と身体疾患の組み合わせに関しても大きな差があり、ある精神疾患にかかったときの、身体疾患への「なり易さ」が高い組み合わせは、摂食障害⇒生殖泌尿器系疾患であり、逆に低い組み合わせは器質性精神疾患⇒悪性腫瘍でした。
他にも、精神疾患が診断されてからの時期によっても身体疾患へのなり易さは異なっており、確かに精神疾患があると、続発的に身体疾患が生じやすい結果となっていましたが、そこには精神疾患と身体疾患の組み合わせの種類や、診断からの期間によるリスクの変動があることが分かりました。
特に組み合わせの中でも関連が深いものに関して把握し、臨床に生かすと予防の上でもメリットが大きいと思われました。
#身体疾患
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