◎要約:『自殺未遂者の約20%は自殺未遂の前に、精神疾患の診断がついていない』
通常、「自殺の危機経路」と呼ばれる自殺に至るプロセスの検討において、自殺の前にはうつ病(うつ状態)等の精神疾患の診断を満たす状態像があると言われます。
今回は、アメリカにおける精神疾患の診断のない自殺未遂について調べた研究をご紹介します。
Lifetime Suicide Attempts in Otherwise Psychiatrically Healthy Individuals
自殺企図以外は精神医学的にに健康と考えられる自殺未遂数
アメリカの統計データ: the US National Epidemiologic Study of Addictions and Related Conditions III (NESARC-III)を元にした研究で、調査は2012年4月~2013年6月に行われました。
調査対象者全体は36,309人(20~65歳)で、自殺未遂があったのは1948人でした。
結果として、以下の内容が示されました。
・自殺未遂があった人の6.2%で調査時点で精神疾患がなく、13.4%で自殺未遂前には精神疾患の発症がありませんでした。
・精神疾患のない自殺未遂で明らかな年齢、性別の傾向はありませんでしたが、女性ではより多く精神疾患発症の年に自殺未遂を行っていました(女性14.9% vs 男性8.6%)。
・自殺未遂は50歳より上の年代では比較的少なくなっていました。
精神科医療との接点のない自殺未遂者にどのようにアプローチするのかが大きな課題であると感じました。
Comments