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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

精神疾患の伝達性

◎要約:『学級内に精神疾患の罹患者がいた場合に、クラスメイトで精神疾患の発症する可能性が増加するかもしれない』





時々、精神疾患について、「うつりますか?」と質問されることがあります。


今回は、思春期の学生を対象として、クライスメイトの中で精神疾患が伝達されるのかを調べた研究をご紹介します。


思春期同級における精神疾患の伝達性

Transmission of Mental Disorders in Adolescent Peer Networks


フィンランドにおける研究で、第9学年(16歳に相当)の学生713,809人(平均16.1歳、50.4%が男性)を対象としています。


結果として、以下の内容が示されました。


・クラス内の精神疾患の診断人数と伝達性には、用量反応関係(片方の量が多いと反応と思われる結果が大きくなる関係)が認められ、診断人数が一人いる場合には、精神疾患のリスク(ハザード比)が1.01倍、1人よりも多い場合には1.05倍となっていました。


・時間経過の中で、最もリスクがが高いのは、罹患者がいた時の初年度で、診断人数が一人いる場合には、精神疾患のリスク(ハザード比)が1.09倍、1人よりも多い場合には1.18倍となっていました。


・精神疾患で多かったのは気分障害、不安障害、摂食障害でした。


・以上の結果は、家庭環境、学校環境、地域環境の要素を調整しても一貫していました。




精神疾患が伝達されると考えるのは早急であると思われますが、対人的交流の中で、気分や不安の共有はあり得ると考えられました。

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