◎要約:『それぞれの精神疾患や性別で、自殺のリスクには異なった傾向があり、物質使用や自傷などの合併症状も重要である』

自殺のリスクが高くなる疾患としては「うつ病」が有名ですが、実際に様々な精神疾患のリスクはどのようになっているのでしょうか?
今回は、初めての受診から長期の経過の中で、実際の自殺リスクを調べた研究をご紹介します。
Absolute Risk of Suicide After First Hospital Contact in Mental Disorder
精神疾患における初回病院受診後からの自殺リスク
デンマークにおける研究で、176,347人を対象に、最初の精神科医療サービス受診から36年間の経過(平均追跡期間18年)を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・男性において、最も自殺リスクが高い傾向があったのは双極症(躁うつ病)で7.77%、次が単極性のうつ病などを含む気分障害で6.67%、統合失調症で6.55%となっていました。
・女性では統合失調症の4.91%が最も高く、次が双極症(躁うつ病)の4.78%となっていました。
・精神科医療を受診していない群については男性で0.72%、女性で0.26%でした。
・物質使用症や単極性気分障害を伴うと自殺リスクを上昇させる傾向があり、特に故意の自傷があると、リスクを2倍に増加させていました。
単極性のうつ病のみではなく、双極症や統合失調症で自殺のリスクが高いことや、随伴する症状にも注意を要することを認識させる内容でした。
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