診察をしていて一つの疾患についても、非常に大きな違いがあるのに驚きます。
同じうつでも、不安や焦燥が著しいものやひたすら落ち込みが強く、低活動のもの等、一概に同じ病気として考えて良いものか、首を傾げるような場合もあります。
実際、診断自体は現行の分類で、同一の診断にするとしても、症状に合わせて対応や治療を変えるということもしばしばです。
今回は、「精神病」」について、様々な指標を分類して、さらに細かく分けて、さらにその妥当性の検証まで行った研究をご紹介します。
予後や遺伝学的検証を含む精神病下位分類の調査
精神病(統合失調症)に罹患している1223人(平均42.7歳)が調査の対象となりました。
最初に765人で特徴を調べ、分析の結果(より細かい分類)を出して、その後残りの458人で、経過と遺伝学的な妥当性について調べました。
結果として、以下の5つの分類が考えられました。※以下、( )内は人数
①情動変化型(252)
②自殺リスク型(44)
③抑うつ型(131)
④高機能型(252)
⑤重症型(86)
上記のうち特に③抑うつ型と⑤重症型の機能的予後が悪く、適応は限られ、特に重症型は再燃を繰り返す傾向がありました。
特に③と⑤に関しては注意しながら悪化/再燃予防を図る等、それぞれの分類に応じた対応が考えられそうです。
分類を詳細に行うことによって、診断が煩雑になり過ぎることは混乱を招きそうですが、病態評価を深め、対応をよりきめ細やかに行える可能性はあると思われました。
#統合失調症
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