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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

精神病性のうつ病に抗精神病薬を使用した時の変化


うつ病の中でも妄想などの精神病に類似する症状を伴うものがあります。


その場合には、通常うつ病治療に使われる抗うつ薬のみではなく、症状を軽減するために抗精神病薬の使用が必要となることも少なくありません。


今回は、このような抗精神病薬の使用が必要となった場合の経過について、寛解後に抗精神病薬を使い続けた場合の脳の変化を調べた研究です。


精神病性の症状を伴ううつ病に抗精神病薬を使った場合の脳構造変化


“神病性のうつ病に対する薬物療法の研究:Study of the Pharmacotherapy of Psychotic Depression II (STOP-PD II)”の一部として行われた研究で、多くの施設で二重盲検と言われる、薬を投与している方も偽薬か実薬か知らない方法(臨床試験の信頼性を高めるために必要)で行われました。


セルトラリン(抗うつ薬)+オランザピン(抗精神病薬)で一度は精神病症状が寛解した後に、オランザピンを36週続けたグループと偽薬に替えたグループで比較を行ったところ、以下のようなことが分かりました。


①オランザピンを続けたグループでは皮質の菲薄化(薄くなること)が起こった。

②オランザピンの使用の有無に関わらず、精神病症状が再燃した場合にも皮質の菲薄化が起こった。


つまり、抗精神病薬を続けると脳の大切な部分が痩せてしまうし、かと言って投与せずに症状の再燃が起こった場合にも同じことが起こる、ということになります。


ベストな経過としては、抗精神病薬をやめて、再燃が起こらないことですが、どの程度再燃の可能性があるのかは、予想が難しいところです。


しかし、再燃の回数や症状の程度などを考慮して、中止できそうな場合には抗精神病薬の投与を最小限とすることについて検討した方が望ましいのではないかと思われました。


#うつ病

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