職業上の過重なストレスが継続したことによる“燃え尽き Burnout”が、医師の間で高確率に生じることが指摘されてきました。
今回は、精神科医の燃え尽きについて複数の論文を検討して分析した結果(メタ・アナリシス)をご紹介します。
精神科医における燃え尽きの有病率
精神科医の燃え尽きをテーマとした36の論文(5,481人の精神科医を含む)が分析の対象となりました。
統計や調査法、燃え尽きの定義、有意と見る基準の設定などについて多くの相違が認められましたが、全体を統合して燃え尽きの有病率を算出しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①全体として、燃え尽きの指標(Maslach Burnout Inventory )を用いた場合には有病率25.9%、もう一つの指標(Copenhagen Burnout Inventory)を用いた場合には50.3%となっていました。
②症状別で比較的多かった症状は「感情的消耗 emotional exhaustion」で43.5%、「離人 depersonalization」で28.2%、「低い個人的達成感 low personal accomplishment」で32.4%となっていました。
つまり、“精神科医の燃え尽き有病率は、指標によっても異なるが、25~50%であり、高く見積もった場合には半数近くの精神科医が強い消耗感等を感じている”と言えそうです。
医師の中でも、専門領域の様々な特性が精神科医の燃え尽きに関連すると言われていますが、適切な精神科医療を継続するためにも自己のメンテナンスに留意する必要性を感じました。
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