統合失調症の一部が実は感染症ではないかと言われることがあります。わずかに冬季に出生された方が多いという季節性等が、ヒントとして考えられています。
しかし、現時点では統合失調症自体が多様な疾患を含む症候群である可能性もあり、一概に原因を論じることが困難であるとも言えます。
今回は、統合失調症とEBウィルスという比較的感染の多いウィルスに対する抗体(体外からの異物に反応して作られる物質)との関連について調べた研究をご紹介します。
統合失調症はEBウィルスに対する抗体価上昇と関連している
統合失調症に罹患された432人と精神疾患の機能のない311人について、EBウィルスに含まれる様々な蛋白質に関して、抗体価(量)を調べました。
まずは、EBウィルスの粒子全体について、統合失調症では顕著な上昇を認めました。
しかし、さらに調べたところEBウィルスのカプセルの部分に対する抗体は上昇していても、中心の部分に対しては反応する抗体が上昇していないというばらつきが認められました。
また、別に算出された多遺伝子リスクスコアで分かる疾患に対する脆弱性とEBウィルスに対する抗体価を組み合わせることにより、統合失調症のリスク(8.5倍)が判断できる可能性についても示されました。
統合失調症が感染症であるかはともかく、なんらかの免疫反応が関与しているという説は有力で、今後も様々な免疫に関する情報により、統合失調症の基礎的な部分に触れることができる可能性を感じました。
#統合失調症
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