統合失調症では様々な面で、身体的な老化が通常よりも速くなると言われています。
今回は、脳の機能的つながり(ネットワーク)に注目して、脳の老化現象を健常な場合と比較した研究(2019)を紹介します。
精神病性障害における認知機能を担う脳内ネットワークの老化促進
精神病性障害に罹患した240人と健常者178人が研究の対象となりました。
MRIの脳画像と認知機能について、精神病性障害がある場合とない場合の比較を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①精神病性障害がある場合、特に認知機能に関わると言われる前頭頭頂ネットワーク、帯状弁蓋ネットワークの機能低下が目立った。
②ネットワークの機能低下は病初期には認めず、また、他の領域では明らかでなかった。
つまり、“統合失調症では病初期には認めない認知関連の機能低下が通常よりも早期に現れる”ということが脳の画像から示唆されました。
最近、統合失調症の様々な症状のうちでも認知機能の低下が、発症後の生活の質を左右すると言われており、非薬物的な方法も含めて認知機能の維持を目指したアプローチが重要であると思われました。
Comments