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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

統合失調症における薬剤と寿命

◎要約:『統合失調症の治療において、抗精神病薬は寿命の延長に繋がらず、ベンゾジアゼピン系薬剤は寿命の短縮に繋がる可能性がある』





今回は、統合失調患者における抗精神病薬等の薬剤投与が、寿命とどのように関連するのかを調べた研究をご紹介します。


Medication Exposure and Mortality in Patients With Schizophrenia

統合失調症患者における向精神薬への暴露と死亡率


カナダにおける研究で、統合失調症に罹患した32,240人(平均46.1歳、61.3%男性)が対象となりました。


抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤(抗不安や睡眠効果がある薬剤)投与の影響を、生存期間(診断からの無治療期間を考慮)について調べています。


結果として、以下の内容が示されました。


・(無治療期間について考慮を行わない方法では)抗精神病薬と死亡率に関連はありませんでした。

・(無治療期間についての調整を行った方法では)高用量の抗精神病薬投与と死亡率の上昇に関連を認めました(ハザード日1.28倍)。


・(無治療期間について考慮を行わない方法では)抗うつ薬と死亡率低下に関連を認めました。

・(無治療期間についての調整を行った方法では)高用量の場合のみで抗うつ薬と死亡率低下に関連を認めました(ハザード比0.86倍)。


・(方法によらず)ベンゾジアゼピン系薬剤は死亡率の上昇と関連していました。




例として、無治療期間まで生存期間と捉えてしまうと、その期間も薬剤による生存期間の延長期間と考えられてしまうのでバイアス(結果の偏り)が生じやすいとのことでした(その他にもバイアスの生じる方向があります)。分析の方法にも注意が必要であると思われました。

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