昨日は、女性ホルモンの濃度が低下する閉経後に、統合失調症に罹患した女性の精神症状悪化による入院が増える可能性についてお伝えしました。
今回は、通常の治療に女性ホルモンを追加した場合の有効性について調べたシステマティック・レビュー(複数論文についての分析)をご紹介します。
精神医学会the American Psychiatric Association (APA) 2019 annual meetingで発表された内容で、ランダム化比較試験のみを選んで426人の女性に関するデータを統合しています。
各研究で共通に用いられている統合失調症の症状尺度(PANSS、BPRS)の結果をまとめています。
結果として、以下の内容が示されました。
・全ての研究で、抗精神病薬に女性ホルモンを加えたほうが、抗精神病薬単独よりも、PANSSを用いた精神症状の評価でより大きな軽減を示していました。
・女性ホルモンを多く用いたほうが、PANSSでの症状軽減が大きくなっていました。
・BPRSを用いた症状評価では、女性ホルモンを加えることによる明らかな違いはありませんでした。
要約:『女性ホルモンを加えることにより、抗精神病薬だけよりも大きな精神症状軽減を認める可能性がある』
女性ホルモンには、ホルモンの影響を受ける腫瘍の増大や一部の疾患の悪化を来す可能性もあり、使用には総合的判断が必要であると思われました。
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