統合失調症の治療は、当初、幻覚や妄想等の症状軽減を目指して行いますが、慢性期になると家庭や社会への適応をいかに行うかという点に焦点が移行していきます。
今回はこのような適応を左右する因子について調べた研究をご紹介します。
統合失調症の適応について調べた4年間の経過観察
イタリアにおける研究で、病状的には安定している618人(平均45.1歳)が研究の対象となりました。
精神症状、社会的認知、非社会的認知、遂行能力、個人的資源、社会的文脈に関連する要素が評価され、実生活への適応を4年の間隔をあけて評価しました。
結果として、初回評価時の社会的/非社会的認知、意欲消失、陽性症状が、4年後の実生活への適応状態に関連していました。
例として、認知能力と日常生活や仕事への適応、意欲消失と対人関係、陽性症状と仕事のスキル、社会的認知(社会からの情報を吸収・保持して、他の状況に適用する過程)と仕事のスキル等の関連がありました。
影響する要素が広範囲で、解釈が困難であると感じました。リハビリテーションの開発や人的資源の確保が必要であると思われました。
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