統合失調症では妄想や幻覚といった目立ちやすい症状だけではなく、「無為自閉」などの一見分かりづらい社会との関わりを阻害する症状があります。
特に適応を最も左右するものの一つとして遂行機能障害が指摘されており、その基礎には各種心理検査でも測定可能な認知機能の低下があります。
今回は、統合失調症の治療が行われていなかった期間の長さと認知機能低下との関連について調べた研究をご紹介します。
慢性期無治療の統合失調症における無治療期間と認知機能との関連
中国の農村部における研究で、無治療の統合失調症患者197人(平均年齢52歳、平均無治療期間22.9年)が対象となりました。
認知機能(遂行機能)を調べる各種心理検査を行い、無治療期間との関連性について検討しています。
結果として、以下の内容が示されました。
①全体として無治療の統合失調症では健常者の対照と比較して認知機能検査の結果が低下していました(例として、最も差の大きかったのが、簡易視空間記憶検査‐0.60)。
②検査の一部(簡易視空間記憶検査、迷路課題等)では無治療期間が長い程、認知機能の低下が大きくなっていました。
つまり、統合失調症の無治療のまま経過した期間と認知機能(あるいか遂行機能)との間には関連(無治療期間が長いほうが認知機能低下が大きい)があると推測されます。
しかし、対象者の平均年齢を考えるとこれを純粋に統合失調による影響と見て良いのか、あるいは、この僅かな検査結果の点数の差が、実生活上どのくらい意味があるのか不明な点が多いと思われました。
#統合失調症
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