#統合失調症
ある細胞の状態や組織等において存在するタンパク質を総体として捉えたものを“プロテオーム:Proteome”と呼びますが、複数のプロテオームを比較することで、起こっている生命現象などを総合的にとらえることが可能となります。
今回は、
i. 統合失調症の神経接続部位におけるプロテオームを把握することにより、生命現象を捉えること。
ii.その生命現象が、神経接続部位に特有のものか、あるいは脳の灰白質全体で起こっているのか調べること。
以上を目標とした研究についてご紹介します。
統合失調症における一次聴覚野神経接続のプロテオーム変化
48人の統合失調症患者について脳内の神経接続部位におけるプロテオーム(蛋白質)変化と他の組織における変化について調べられました。
結果として、以下のようなことが示されました。
①統合失調症においては、一次聴覚野と言われる部位のミトコンドリアや神経接続後部における蛋白質に大きな変化が生じていた。
②そのような蛋白質の変化は、主として神経末端部で生じてはいるが、灰白質全体というような広範囲のものではない。
以上のことから、(実際の臨床に生かされるまでには時間がかかるかもしれませんが)プロテオームの変化を参考にして、その変化の著しい部位を治療の標的とする等、治療方針のあり方に変化をもたらす可能性が考えられました。
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