統合失調症では様々な領域で認知の歪みが生じ、症状として幻覚・妄想等が出現します。
それらの症状に関して、既存の情報を新しい情報で更新すること(概念更新: Perceptual Updating)の障害と捉え、統合失調症の重症度と比較した論文をご紹介します。
概念更新の障害と統合失調症重症度の関連
ケースコントロールと呼ばれるデザインの研究で、2つの独立した集団を含む合計160人(統合失調症、健常者)が対象となりました。
ドットが動く方向が変わる画像を見て、最後の動きの方向を報告する課題を行い、統合失調症と健常者で比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①統合失調症では最初の動きを言うことが多く、新しく起こった事象で、情報を更新できないこと(概念更新の障害)が伺われました。
②最初の動きを答えてしまう失敗は、誤答に対する確信の程度や統合失調症の重症度、幻聴の程度と関連していました。
つまり、“統合失調症では、新しい情報で古い情報を更新することが苦手となり、この苦手さが重症度の参考になるかもしれない”と言えそうです。
統合失調症の症状尺度は主観的な答えや援助者の回答によることが多く、客観的な指標が少ない領域なので、症状評価の助けになることが期待される内容でした。
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