「線維性筋痛症」という、明らかな原因が不明で、慢性で広範囲の痛みが生じ、多くの日常的場面において深刻な影響を与える病気が知られています。
著しい痛みのために精神状態にも大きな障害をもたらすことが指摘されており、自殺の原因となる例も存在します。
痛みを丁寧に評価することがとても重要な病気ですが、原因が明らかでないために診断が遅れることでも知られています。
今回は、線維性筋痛症で腸内細菌の変化が認められるという内容の論文をご紹介します。
線維性筋痛症における腸内細菌叢の変化
77人の線維性筋痛症の女性と79人の比較対照のための健常者について腸内細菌の生化学的検査が行われました。
結果として、他の要因では説明できない線維性筋痛症そのものによると思われる腸内細菌叢の構成変化を認めました。この変化は、細菌によって代謝される酪酸やプロピオン酸の変化とも一致していました。
「機械学習(マシン・ラーニング)」を用いた推論のパターンによって、上記のような細菌叢の変化を評価したところ、線維性筋痛症の患者と健常者との判別が高確率で可能であることが示されました。
前述のように、線維性筋痛症は診断が困難で、このことも疾患が理解されにくい状況につながっています。腸内細菌叢等、他の方面からの変化で診断の助けを得ることができれば、患者さんにとってメリットが大きいように思われました。
#線維性筋痛症
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