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肝酵素の多様性によるセロトニン症候群の可能性について



うつ病やうつ状態の治療に使われる抗うつ薬の副作用の中に、稀ですが重篤なものとして「セロトニン症候群」があります。


抗うつ薬には“セロトニン”と呼ばれる神経の仲立ちをする物質(神経伝達物質)を補う役割があり、この物質の働きが過剰になることが病態として想定されていますが、原因については詳しく分かっていません。


症状として、意識障害・発熱・多量の発汗・筋緊張の亢進・震え等がありますが、通常は影響したと思われる薬剤を中止し、輸液などの適切な対処を行えば速やかな改善を認めます。


今回は、肝臓の酵素であるシトクロム2D6の多型(遺伝子の組み合わせ)によると思われるセロトニン症候群発症の症例についてご紹介させてください。


Recurrence of Serotonin Toxicity and Influence of Cytochrome 2D6 Polymorphism

セロトニン症候群の再発とシトクロム2D6多型の影響


48歳の男性で、うつ症状と行動・認知の障害で入院となりました。パーキンソン病の合併があり、レボドパというドーパミンを補う薬